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その日は、良く晴れていた
。目が痛い程に光る太陽……
………風が強い。
深緑に囲まれた獣道、木々のざわめきだけが耳を塞ぐ。
なんだか現実感が無い。
しばらく歩くと、空と木々に閉ざされていた視界が開け古い寺が見えてくる。
…………思ってたよりでかいな。
俺は携帯を取り出し、今回の依頼主であるその寺の主人を呼び出した。
「もしもし、池守(いけがみ)です。今、着きました。……………はい。」
それだけ言って通話を切る。
すぐに入りロが開き、法衣に身を包んだ初老の男性が出て来た。
さっきの電話の相手……この寺の住職だ。
名前は確か、龍門寺 兼尚(りゅうもんじ けんしょう)
「すみませんねぇ…。こんな遠い所まで来て頂いて。………どうぞ、こちらです。」
挨拶を返す間もなく、屋敷の中へと促される。
「失礼します。」
俺はスニーカーを脱ぎ屋敷の中へと一歩足を踏み入れた。
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