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寺に上がると、本堂には入らずそのまま奥へと案内される。
ちょっとした渡り廊下を通り、いわゆる離れに入る。さらに縁側を奥へ奥へと案内される。
「………そげんことでですねぇ。私がその子ばお預かりしたと言う訳なんですよ。………それにしても、失礼やけど、おいくつになられるとですか?
あ、ヤベ……全然話し聞いてなかったWWWW
「……いや、歳で力量を決め付けるつもりじゃあなかとよ。ただ単にお若いけんいくつじゃろぉと思いましてぇ。」
普段から愛想がいいのだろう。
この住職は俺を案内する道すがら、引っ切り無しに笑顔でしゃべり続けている。
「23です。」
俺が端的に答えると、
「そうですかぁ。いやぁ羨ましかぁ……私もそれくらいの歳には………」
と、またにこやかにしゃべり出した。
………よく喋るジイさんだ……
そう思いながら先を歩く住職のピカピカの後頭部をぼんやり見つめていた。
「……!!」
瞬間、空気が変わった。
重くジメっとした生温い風が全身を包む。
「………流石に歳ですかねぇ?だんだん私の手には負えなくなってしもうて、あぁ……その部屋の中ですよ。」
住職に指差されなくても分かる。
その部屋の入口の障子には、ボロボロになったものから比較的新しいものまでおびただしい数の札がこれでもかと貼られていた。
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