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………………。
何とか間に合った……。
身体を這い回っていた邪念達は、いったん私から離れ、またもやの様な状態に戻りその辺を漂い始めた。
邪念に捕らわれてた姿は兼尚さんには見られていない…………と思いたい。
………………。
「しょか!何しよるんかっ!?」
兼尚さんの怒鳴り声にビクッと身体が反応する。
あぅ……、どっちにしろ怒られた………。
『邪気や邪念が憑くんは、しょかん気位が弱かと!気ぃば張らんね!!』
幼い頃から邪気や邪念に捕り憑かれる度、そうこんこんと言い聞かせられた。
でも、私にはどぉしよぉもなかった。
来んで!来んで!! と、いくら念じても全く効き目なんかなかったし、気を張るとか、強く持つって事がいまいちよく分からない。
いなくなれ! そぉ思いを込めて身体に憑いた邪念を叩いた事もあった。
叩けば邪念は元のもや状態の邪気にまで戻るが、すぐに集まり邪念になってくっ付いてくる。
叩いても、叩いても切りがない。
やぶの中で突っ立って、寄って来る蚊を一生懸命追い払ってる気分になって虚しくなって止めた。
ある日兼尚さんの目を盗んで、少し離れた運動公園まで自転車に乗って一人で遊びに行った。
広いグラウンドでは野球チームの小学生達が練習してる。
隣接する広場では滑り台やブランコで十数人の親や小供が遊んでる。
公園を囲む様に造られた遊歩道では散歩やウォーキングを楽しむ大人達がいた。
残念ながら同じ小学校の子はいなかった。
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