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「砂ぁよぉけ付いとるけ、洗った方がよかねぇ」
膝の傷を見ていたおばちゃんが他のおばちゃん達に話しかけた。
「それがよか」
「あぁ、よかよか」
私をよそに、おばちゃん達の話は進む。
「あっちにトイレばあるけん、そこで洗おっか?」
1人が私に向けてそぉ言った。
「………えっ?」
「そぅしぃ」
「そぅしぃね?」
他のおばちゃん達も同意する。
…………………
それだけは嫌っ!!
「………大丈夫です。……家……近くやけん、うち帰って…洗います…………。」
そぉ言って、おばちゃん達の前から逃げ出した。
公園の入口に停めていた自転車まで走った。
「いっ……!!」
乗ろうとハンドルに手をかけたら、擦りむけた手の平がビリっと痛んだ。
反射的に放してしまった自転車が、ガシャンと音を立てて倒れた。
ジワジワと痛みが強くなる。
膝も肘も熱を持ってジンジンとうずきだした。
ぱたっ……ぱた、ぱたっ………
今まで止まってた涙が、いっきにあふれて服に染みを作っていく。
痛い………痛いよぉ………。
痛くて、……怖くて、……悔しくて、………恥ずかしくて…………
自分が情けなくって…………………
泣きながら自転車を起こして、ゆっくり押しながら歩いた。
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