印象 S

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ドキっと心臓が飛び跳ねた。 あれっ…………? 王子様がいる……………。 茶色くてフワリとした髪が、太陽の光りと風を受けて金糸の様にキラキラしてる。 少しだけ見開かれた優しそうな切れ長の瞳。 その左眼の斜め下には、印象的な泣きボクロ。 ………こんなキレイな人が世の中にはいるんだ………。 TVの中とかでキレイな人はいっぱい見た事はあるけど、こんな間近で見たのは初めてだ………。 「あぁ…、しょか! また、こげん事してから……!! 今日はお客さんがいらっしゃるとあんだけ言うとったのに!」 兼尚さんの発した言葉で、ふと我に返る。 頭にカアッと血が上るるのがわかった。 依然、私と王子様とは見つめ合ったまま。 心臓がドキドキと警報を鳴らす。 視線を急にそらすのも何だかおかしく思えて、どうしたらいいのかも分からない。 背が高い。 スラッとした身体に、黒いカッターと黒のスラックス、少し緩めた紺のネクタイが似合ってる。 何て言うか……………、 ジャニーズ系? ………いや、どちらかと言うと、TVのドラマに出てくる………ホストだっ。 ホストで、ファイナルアンサー!! そう、思えば一気に緊張感が取れてゆく……。 「あっ……!」 抱えていた花瓶をゴロリと畳に落としてしまった。 油断大敵。 隙をついてまた邪念の固まり達が身体に絡みついてきた。
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