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──あの後家に帰った俺は母さんに叱られ、いつもなら謝ってすぐ終わる喧嘩も初めて俺が思ったことを言ったせいで母さんと泣き合うという結果で終わった。
俺が言いたいことを我慢してたせいで、母さんも色々我慢してたんだなって改めて思った。
・・素直に認められるのもアイツのお陰なのかな、とか部屋で一人になった時ふと思った途端、顔が赤くなるのが自分でもわかった。
うわわ・・!な、なんでアイツのこと思い出してこんなにドキドキしてんだよ俺・・・!
これじゃ・・・まるで、恋・・・っ!?
危ない答えに辿り着いた俺は慌ててその答えを打ち消して、明日会う新しい家族のことを考えた。
父さんと、兄さんか・・。
どんな人なんだろう・・・いい人だといいな。
まだ見ぬ"兄さん"のことを考えるとまたアイツが頭に浮かんできて、また慌てて頭から消す、というのを寝るまで繰り返した。
・・・あぁ、もうチクショー!
この気持ちが何かなんてとっくに気付いてる俺は、あえて知らない振りをして眠りについた。
・・・だって、あんな変な奴に、なんて可笑しいだろ?
どこの誰かもわからない上に、もう会うことだってない。
それに、アイツが"男"だってことだけはしっかりわかってんだから・・・。
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