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そして運命の翌日。
やはり余り寝れなかったせいか体がダルかったが、母さんに叩き起こされ渋々ベッドから出て支度をした。
張り切った母さんと一緒に行った先は、少し高そうなイタリアンのお店だった。
・・どう見ても中学の制服が浮いてるよ!マナーもわからないしこんなとこで顔合わせするなんて、恥ずかしすぎる!
なんてことを息子が思ってるなんて母さんは微塵も思ってない様子で・・・
店へ入ってから案内された個室には男の人が一人だけ座っていて、年からして義父さんだとすぐわかった。
「こんにちは、和人(カズヒト)さん。お待たせしてごめんなさいね・・・あら?透くんは?」
席に着きながら母さんは俺に座るように促した。
「こんにちは裕子(ユウコ)さん。透ももう少しで着くと思うよ。・・で、そちらの男の子が佑樹くんかな?」
ニコニコとこっちを見る和人さんは、母さんより2つ年上だと聞いたのに年の割りに若く見えた。それにダンディなイケメンって感じで・・・・・・あれ?なんか見覚えがある気がするんだが・・・。
「ぁ、はい。佑樹です。これからよろしくお願いします」
なんだか照れ臭くて"義父さん"とは呼べなかったが、和人さんの表情を見るに今の挨拶で満足してくれたみたいだ。
「か、可愛い!・・こほん、佑樹くんはすごく礼儀正しいんだね。」
・・・なんだか聞き捨てならない単語が聞こえた気もしたが、気にしないようにしよう。
それより俺だけ先に挨拶しちゃってよかったのか・・?こういうのって皆揃ったらするんじゃ・・・っていうか義兄さんは?
「遅くなってすみません、学校に顔出してたもので」
・・・・・え?
「遅かったじゃないか。まぁ、席に座りなさい」
この声って・・・・
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