恋に堕ちる時!

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目の前の席に誰かが座る気配がしたが、俺は俯いたまま顔を上げられなかった。 ・・え?だってこの声・・まさか、ね・・・? 「じゃあ、皆揃った所で先に挨拶と行こうか。まずは僕から。藤原和人といいます、これから皆で仲良くやっていこうね」 ニコニコしながら立ち上がった和人さんが挨拶した後母さんもして、ついに目の前の人の番になった。 「藤原透です。青葉高校2年生で生徒会に所属してます。不束者(ふつつかもの)ですがこれから一緒によろしくお願いしますね」 和人さんと同じようにニコニコしてる気がするが未だ俯いたままの俺にはわからない。 「佑樹、最後はアナタよ?」 母さんに脇腹をつつかれるまで固まってた俺はおずおずと立ち上がった。 「・・ぇと、今日から藤原佑樹になります、今年の春から榊高校に入学する15才です。・・よろしくお願いします」 俯いたまま話始めたら母さんの笑顔の裏にどす黒いものを読み取ったので、最後に思い切って顔を上げた。 そして、目の前の義兄さんと目が合った瞬間思わずはにかんでしまった。 ・・・こんな偶然、あんのかよ? もう会うこともないと思ってたアイツに、また会えるなんて・・しかもこれから毎日、一緒に暮らすことになるなんて。 思いの外俺の顔は緩んでたらしく、義兄さんの顔が赤く染まっていく。 ・・あれ、なにか怒らせちゃったのかな? 顔を真っ赤にしてるってことは、失態を犯したかもしれない・・そう思った俺はまた俯いて席に座った。 何故か義兄さんの方から熱い視線を感じたが気にしない振りをして料理を食べ進めていった。 義父さんも義兄さんもいい人そうだし、よかった。・・まあ義兄さんはちょっとおかしい奴かもだけど。 でも、これで母さんも幸せになれるよな・・・? 新しい家族が出来ることに抱いていたわだかまりは、ホッとしたのと同時になくなった。 ──義理の兄さんがこの人でよかった。 義兄さんの昨日の言葉のお陰かすんなりそう思えて、そしてまた顔が赤くなる俺だった。
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