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「幸人ちゃん、お待たせ。」
「わぁい!!」
やっとシャーペンを手にした喜びで、
その時『ちゃん』っと呼ばれたことに気付かなかった。
丁寧に閉じられた袋を乱暴に破くと、オバチャンはあらあら、と困った表情を見せたがそんなのお構いなしだ。
逃げるわけでもないシャーペンを捕まえるように取り出すと、嬉しいものがボロボロの袋からこぼれ落ちた。
「オバチャン、これ.....」
「オバチャンからのサービス。
シャーペンの芯と新品の消しゴムだよ!」
そういってウインクしてくるおばちゃんに、
僕は最高の笑顔でお返しした。
「ありがとう!おばちゃん!!
みんな大切にするから!!
おばちゃんダイスキ!!!」
おやおや...、とまんざらでもない笑顔で送るおばちゃんを背に、爺ちゃんの手を引き家路へと急いだ。
爺ちゃんの言った
『 この子をお前の家族だと思って、
大切に、いつまでも使ってやるんじゃぞ。 』
という言葉....
僕は爺ちゃんに言われた通り、
この日買ったシャーペンをずっと大切に使ってきた....。
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