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「....懐かしいねぇ。
これ買いに来たときはお爺ちゃんと一緒だったっけねぇ。」
「うん、.....そうだったね。」
春のやさしい風が僕らをそっと撫でるように通り抜け、
この沈黙を少し和らげたように思えた。
「っで、どうするんだい?
新しいの買っていくかい?」
おばちゃんの問いかけに僕はううん、と首を振り、シャーペンを見つめた。
あの頃カッコイイと思ってた炎のドクロマークも、でかくになるにつれ恥ずかしいワンポイントに変わって、
芯を蓋する役目をになってた棒消しもなくなって.....
それでも、手放す理由にはなれないよな。
「新しいのは買わないよ。
今日はコイツの芯を買いに来たんだ。」
「ふふふ....そんなに大切にされて、
その子もうれしいだろうね。」
「ははは...。
もしそうなら僕も嬉しいね。」
お代をおばちゃんに払い、芯を受け取っ.....?
「おばちゃん、芯ひとつ多いけど....」
「おばちゃんのサービスだよ。
持っていきなさい、幸人ちゃん!」
おばちゃんは昔と変わらないウインクをして僕を見送った。
僕も昔みたいに最高の笑顔でお返しし、「ありがとう、おばちゃん!!
行ってきます!!」っと言葉を送り、駅へと駆けた。
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