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* * *
「─────遅い。」
「狩志、そう思う気持ちはわかるけど....」
「遅い、.........遅いおそいオソイ...」
「少しは落ち着きなさいっ!!」
幸人との待ち合わせをした駅のベンチを立ったり、座ったり。
歩き回ってみたり、飲みもしない炭酸のジュースを買ってみたりと。
永遠とソワソワしている男子高校生。
そして、それを怒鳴る男勝りな女子高校生は、図らずも周囲の注目を浴びている。
視線に気がついた女子高生は、周りに申し訳なさそうに一礼して、連れの男子をしつけるように大人しくベンチに座らせる。
「向こうまでは電車で2時間かかるけど、まだ待ってても間に合う時間なんだから、少しは落ち着きなさいよ.....」
「これが落ち着いていられるか!?」
近距離でムダにいい声で凄(すご)む天乃城 狩志(あまのじょう かじ)。
すらりとした長身で知的な眼鏡が大人びた雰囲気を出しているけど、中身はまだまだ子供で落ち着きのない、私の困った幼馴染みの一人。
だから彼がどれだけ癇癪(かんしゃく)を起こしても、そんなことでは私は動じない。
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