第 1章  巫女 

14/41
前へ
/433ページ
次へ
久 「判ったのじゃ」 久遠は月讀を残して、先に建物がまだ形を残している辺りに 走りこんでいった。 長屋の辺りは、無人に近かったが、久遠と月讀が怪我人がいないか探していると 逃げた人々が少しずつ戻ってきた。 人々の口からは、゛鬼が襲ってきた" ゛竜巻が起きた" など少し異なる話が口 を突いて出たが、何人かが引っかかる事を言っていた。 ゛女の鬼がいた" 言われてみると、この崩月山の鬼達は、見るからに゛女"といえるような容姿を した者は見かけた事が無かった。 久 「そうじゃな・・・鬼にも性別があるのじゃな? だが 女姿の鬼とは・・・ここでは    初めて話を聞くのじゃ・・・月讀に言わねば・・・」 町人 「おおぃ! 子狐、ここに怪我人がいるぞ!?」 久 「おーー大変じゃ、どんな具合じゃ?」 久遠が声のする方に駈け寄り、半壊の建物の軒先にもたれ掛かっている怪我人 に声を掛けた。
/433ページ

最初のコメントを投稿しよう!

54人が本棚に入れています
本棚に追加