第 1章  巫女 

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その頃、崩月山の麓に近い大きな屋敷では大騒ぎが起きていた。 久 「月讀! わしは何をしたらいい!? 何か手伝う事は無いか!?」 久遠がおろおろと廊下を行ったり来たりして、煎じ薬をお盆に載せてきた月讀に しがみ付き訴えている。 月 「久遠、少し落ち着きなさい、貴方が狼狽ても碧は回復しませんよ それどこ    ろか、久遠・・・貴方が走り回ると、貴方の体毛が宙に舞い、碧がまた喘息に    なりますよ? 春の抜け毛の時期でしょう?」 月讀に諭され しょぼんとしてしまう久遠。 久 「確かに・・碧はわしの抜け毛が苦手じゃ・・じゃが・・・わしは碧が心配で心配    で・・・」 月讀を見上げる久遠の青い瞳は涙で潤んでいた。 月 「解かりました・・・じゃあ 井戸から冷たい水をたらいに汲んできて下さい。    あの分だとまだまだ熱が上がるでしょう、腕も冷さねばなりませんしね」 久 「判ったのじゃ!」
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