第 1章  巫女 

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月讀は久遠の走り去る後姿にちらりと視線を投げた。 ゛やれやれ、今しがた走らぬように言ったばかりなのに・・・ " 月 「碧さん 入りますよ」 月讀が閉まっている部屋の襖越しに声を掛けるが、返答は無い。 静かに襖を開け部屋に入ると、薄暗い部屋の奥に布団が敷かれ、一人の少女 が眠っていた。 亜麻色の柔らかそうな髪、その顔は静脈が青く浮き出そうな位の色白の少女だ。 月 「碧さん・・・災難でしたね・・・鬼に襲われるなんて・・・貴方はまだ修行半ばの    身、それでも精一杯戦ったのでしょうね・・・でも、無理は禁物とあれ程私は    言いましたが・・・貴方のこの病弱な体では まだ鬼退治は無理だと・・・」 月讀がため息を付きながら、布団の傍らでその儚げで痛々しげな彼女を見つめ 呟いた。 碧 「月讀さん・・・ごめんなさい・・・」 月 「おや 気付きましたか。丁度 お薬が出来ましたよ、貴方の國の薬ほど    効きはしないのでしょうけれど・・・」
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