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柘榴の祠の陰で竜尊が寝転んでいた。
゛畜生・・・あれだけ強烈な気を放つ奴なのに、居所が全く掴めねぇ・・例え月讀の
屋敷にいるとしても、結界を張っている形跡も無いとなりゃあ・・お手上げだ"
寝転ぶ竜尊が夢で彼女を捕らえるのを諦め、眼を開く。
見上げた視界の先には、春の風に吹かれた木々の枝の隙間から、満点の星が
天上を埋め尽くしていた。
゛あれ程の力を持っている割には、腕にした時のか弱さは半端じゃなかった・・
心技体揃ってこそ本領が発揮されると言うものだ・・・あれでは何れ、己の
力に飲み込まれる・・・
鬼子母神・・・赤子を食らう神にして鬼か・・・いったいあの女は・・・何が目的
なんだろうか・・・
月讀の巫女ならば、我ら鬼の討伐・・・だがなぁ・・・あの時 町人も手に掛け
ていたようだから・・・巫女では無いだろうなぁ"
祠の後ろには ここにしか実らない四季生りの柘榴が、数個実をつけていて、
甘い香りを漂わせていた。
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