54人が本棚に入れています
本棚に追加
弥々斬はちらりと碧を振り返ると、黒い羽織を翻して、それこそ疾風のように姿を
消した。
久 「碧・・・本当にあ奴に何もされなかったのじゃな? あ奴はこの常盤國に
巣くう崩月山の五行を操る5人の鬼達の中の、火行を司る鬼じゃ。月讀もあ
奴らには、手を焼いておる」
碧 「・・・月讀さんから話は聞いていたわ・・・人を殺め、その負を食らう、鬼達だと
でも・・ほら・・この膝の上に零れた重湯を拭き取ってくれたし、発作が起きて
しまった時も薬箱を出してくれた。
でも・・薬が間に合わず苦しむ私を・・どうやったかは判らないけれど、治して
くれたみたい・・・あっ! 熱も下がってる! すごいっ」
久遠が信じられないといった顔で 喜ぶ碧の姿を呆然と見つめる。
久 「碧の発作は・・・心の臓の病じゃ・・・そんな簡単に治まるはず無かろう?」
久遠の否定的な言葉に耳を貸さず、碧は弥々斬が走り去った方角を見つめていた。
最初のコメントを投稿しよう!