第 1章  巫女 

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弥々斬はちらりと碧を振り返ると、黒い羽織を翻して、それこそ疾風のように姿を 消した。 久 「碧・・・本当にあ奴に何もされなかったのじゃな? あ奴はこの常盤國に    巣くう崩月山の五行を操る5人の鬼達の中の、火行を司る鬼じゃ。月讀もあ    奴らには、手を焼いておる」 碧 「・・・月讀さんから話は聞いていたわ・・・人を殺め、その負を食らう、鬼達だと    でも・・ほら・・この膝の上に零れた重湯を拭き取ってくれたし、発作が起きて    しまった時も薬箱を出してくれた。    でも・・薬が間に合わず苦しむ私を・・どうやったかは判らないけれど、治して    くれたみたい・・・あっ! 熱も下がってる! すごいっ」 久遠が信じられないといった顔で 喜ぶ碧の姿を呆然と見つめる。 久 「碧の発作は・・・心の臓の病じゃ・・・そんな簡単に治まるはず無かろう?」 久遠の否定的な言葉に耳を貸さず、碧は弥々斬が走り去った方角を見つめていた。
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