第 1章  巫女 

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彼らはこの常盤國の崩月山に古から住まう 人ならぬ存在、「鬼」と呼ばれる 宿業を持つ者達だった。 ここ崩月山には数多の鬼が住まうが、彼らはその中では別格で、鬼にして 特別な力「五行」をそれぞれ得手とする「鬼神」的存在だ。 だが、彼らの糧は人間の恐怖心から生まれる 負のエネルギー、そして血肉 だった。 飢えと乾きが頂点に達する時、彼らはただの捕食者と化す。 街は宵闇のなか、所々紅い炎が立ち上がっているのが見える。 街に近づいた彼等の姿は、まさに鬼に変化していた。額には2本の角が その手の爪は長く伸び、つりあがった目、雄たけびを上げるその口には 獣のような牙が見える。 3人はその混沌の闇の中に消えていった。
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