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煙が引いていくと、その全貌が露わになる。
町並みの一部が吹き飛んでいる・・・そしてその中央に一人の女が俯き加減で
佇んでいた。
その全身からは、怒りに似た負の力が揺らめくように発せられている。
“誰だあれは・・・見たことも無い姿格好だ・・ ”
茶褐色の長い髪を風に靡かせ、その瞳は獣の様に瞳孔が輝いている。
逆立っている前髪の一部が白髪で、遠目からは角の様にも見える。
彼女の視線がゆっくりと竜尊に向けられた・・・次に彼女が何か小声で呟いた。
「・・・! ちっ・・御柱っっっ!」
とっさに術を放ち、土の壁を眼前に打ち立てたが、僅かに遅れた分何かが腕を
掠めていった。
だが、掠めていった(何か)は 見当たらず、目の前の土の壁は、音を立てて崩れ
竜尊の左腕からは、赤い血が流れる。
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