橋の下の小鬼

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僕はずっと前からこの橋の下に住んでいる。 昔は仲間もたくさんいたけど、今は僕一人。 でも、可哀想なんて思うのは止めて欲しい。 僕はこの生活を楽しんでいる。 朝日と共に目覚めて、川で水浴びをし、ついでに魚を捕まえて食事をする。 その後は、川原に転がって身体を乾かしながら昼寝。 お日様が真上に登ったら、今度は散歩に出かけるんだ。 少し前に人間が川の土手を高くしてから、この土手を登るのが大変になった。 人間ってやつは、昔から何を考えているのかわからない生き物だ。 奴らが川の主を灰色の岩で閉じ込めてから、川が暴れなくてつまらない。 主が人間に捕まる前は、夏になると川の主と南からやってきた風の主が喧嘩して、そりゃあ面白かった。 今じゃ、風の主がどんなに誘っても、川の主はグルグル水を巻き上げるだけで、ちっとも喧嘩になりゃしない。
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