橋の下の小鬼

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もちろん、喧嘩になれば、僕も巻き込まれる。 物凄い風に飛ばされて遠くの山にぶつかったり、ドロドロになった岩混じりの流れに巻き込まれて海まで流されたりもする。 でも僕は強いから大丈夫。 大体、僕は生き物とは違う存在だから、怪我も病気もないんだよね。 だから、主達の喧嘩はすごく楽しみ。 っと、そうそう、僕の日課の話だった。 土手を登りきったら、人がたくさんいる所に行くんだ。 途中、人間の住処にいる大きな犬に吠えられたり、真っ黒な鴉に狙われたりするけど、そんなに害はない。 さっきも言った様に、傷つくわけじゃないから。 ええと、いくつかの住処の前を過ぎて、良い匂いがしてきたら目的地は近い。 人がたくさんいる、「店」って名前の住処に行くと、食べ物がたくさんあるんだ。 葉っぱや実、根っこなんかが置いてある店の隣の良い匂いのする所が僕のお気に入り。 そこはなんだか熱くてじゅうじゅう音がなってる変な所なんだけど、そこの年寄りのオスが作ってる食べ物が僕の大好物なんだ。 食べ物を作れるっていうのは、本当にすごいよね。 僕らは獲って食べる事しか出来ないのに、人間は美味しくする方法を持ってるんだ。 まあ、僕だってもう少し大きかったら出来るんだろうけど、ここは人間が作ったものをかすめた方が楽だからね。
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