橋の下の小鬼

5/5
前へ
/5ページ
次へ
この美味しい食べ物の名前は、『ころけ』というらしい。 小さい人間が、大きなメスに「まぁま、ころけ。」と言っていたから間違いない。 因みに、その時のチビがメスかオスかはわからない。 人間はチビのうちはメスオスの区別がつきにくくて困る。 ええと、ころけだけど。 ころけは、楕円形の板みたいな形をしてて、茶色の皮と白い中身にわかれる。 皮はザラザラしていて気をつけないと口がチクリとするから嫌いなんだけど、白い中身は柔らか過ぎて皮がないと零れてしまう。 食べ物を作るという素晴らしい事が出来る人間でも、この問題は解決できないらしい。 人間は「あ、ちちち、」と痛がりながら、この固い皮ごと食べるんだ。 その辺り、人間は「食べる」ということに無頓着だと思う。 僕は美味しいモノは美味しく食べたい。 だから、僕はころけの茶色の皮を片面だけ丁寧に剥いて、白い中身だけを残さず食べる。 そうすれば、皮に口の中を刺されて痛がる心配もないし、美味しく食べられるんだ。 この時注意しなくちゃいけないのは、顔と体を汚さないこと。 一度、あんまり美味しくて夢中で食べてたら、体中がころけまみれになってしまったんだけど、帰り道に鼠や猫、烏だけじゃなく、蛇や鼬にまで追いかけられて大変だった。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加