真実と邂逅

6/10
27837人が本棚に入れています
本棚に追加
/672ページ
「ウルムナ様、ウルムナ様ー、あれ、聞こえてるですか?」 ゼノが居なくなった部屋。 ミアは相変わらず耳をぴょこぴょこと動かしながら、ベッドの上にいるウルへと話しかけていた。 「あっ、はい。あはは、ごめんねミアちゃん。ちょっと考え事してました」 その魔力を引き換えに自身を助けたゼノの行動は、ウルにとって完全に予想外であり……正直戸惑いという感情が彼の頭を埋め尽くしていた。 「な、何か不都合はありませんか!?なんでも私に言って下さいです!」 一方そんなウルの心情などさっぱり理解できていないミアは、ワクワクといったように目を輝かせていた。 今まで誰かに頼られるなどなかったミアにとって、ウルのお世話をするという命令は嬉しくて仕方が無かった。 「シーツを取り替えるですか?あっ、お部屋を出たいなら私車椅子をお持ちします!それとそれと!私の部屋にテレビがあります!あとあと……このお城の中に私が手入れしてるお庭があります!綺麗なお花がたくさんです!それにえーっと……とにかく何でも言って下さいです!!」 「あはは……うーんとじゃあもう少しミアちゃんとお話しさせてもらってもいいですか?」 「はい!もちろんです!!」 本当は今にも混乱しそうな頭を冷やすために一人になりたい気持ちもあったのだが、それ以上にこんなにも嬉しそうにしている少女の好意を受けないのは、彼の性格上無理だった。 ウルは苦笑いにも見える、優しげな笑顔をミアに向けた。
/672ページ

最初のコメントを投稿しよう!