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「ありがとう。じゃあ早速質問するね。まず、ミアちゃんも断罪の番人の幹部なんですよね?」
「あっ、はい!一応ですけど……13番です。で、でも先ほどゼノ様がおっしゃってたように、私……すっごく弱いです」
ミアは少し耳を倒し、恥ずかしそうにそう言った。
「そ、そもそも幹部は、自我を持つ番人のことみたいです。他の皆さんは自我があって尚且つお強い方達ばかりなのですが、私の場合は全然そうではないです。でもゼノ様が私も幹部に入れて下さったです。ただあまり役には立ってないと思うです……能力もよわよわです」
「ミ、ミアちゃんの能力って?」
ウルはミアに詰め寄った。
「えーっと……あの……が出せるです」
「ご、ごめんよく聞こえなくて……」
ミアは恥ずかしそうに俯きながら、小さな声で何かを呟いている。
「か、鍵を作りだすことができます」
「か……ぎ??」
その時、ウルの脳内に数えきれない程のハテナマークが出現した。
――えっ、あれ。一体ミアちゃんは何を言っているんだろう?
「あ、あれですか……海のミルクって言われてる……」
「それは“カキ(牡蠣)”です!!」
「じゃあ、干すと渋みが無くなる……」
「それも“カキ(柿)”です!!」
「振り込めとかオレオレとか……」
「それは“サギ(詐欺)”です!!」
「燃え移る前に早く避難だぁー!」
「それは“カジ(火事)”です!!」
「梅雨の時期なのに食パン放置しちゃった」
「それは“カビ”です!!」
「ぶるわぁぁああ!!」
「セルです!!」
「口から泡出したり、両手にピースサインの形のはさ……」
「“キュ○ピース”です!!」
「いや“カニ”だよ!!ってかピースは口から泡なんて吹きません!!」
「ひ、ひっかけ問題ですか!?」
「常識問題だよ!!でもこの年にもなってピースを知ってる……」
「俺が一番非常識だよ!!」
――
後に『何故あのようなことを言ったのですか』という質問に対し、ウルムナフ氏はこう語ってくれた。
『いやー、シリアス長かったんでボケるならここしかないって思ったんです』
照れくさそうな笑顔の中にも、時折見せる真剣な表情。
そこに我々は、一切の妥協を許さないウルムナフ氏のプロフェッショナルとしての気概を垣間見た。
「いや、勝手に変なナレーション入れないで下さい!」
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