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「そうですか……。ミアちゃんありがとう、だいぶ勉強になりました」
「いえ!でもお役にたてたのなら嬉しいです!!」
ミアは照れくさそうにはにかんだ笑みを見せる。
そんな笑顔にウルもつられるように笑った。
「あっ、でもミアちゃんは一体どうなるですかね?魔族?竜人?人間?」
その言葉にミアは顔を俯けた。
「えへへ……あのですね……私はですね……」
言いづらそうな口調。そして表情はさきほどの天真爛漫といったものではなく少し暗いものだった。
それにウルは気づいた。
恐らくこの質問は彼女にとってはあまり聞かれたくない話だったようだ。
――あっ、ごめんなさい。やっぱり言わなくていいです。色々ありがとねミアちゃん。
ウルはそう言おうとした。
だがどうやら言う必要はなかったようだった。
「ミアー!!お前これはどういうことだぁあああ!!」
勢いよく響き渡る若い男の声。
「ひっ!」
その声と駆け音にピンっと耳を立てるミア。
「今日も飯がカレーだけってよ。まあ不味くはねーけど……でもさすがに14日連続は無理があんだろ!!アホかお前は」
部屋の扉を開けたのは、額に小さなツノのような物がある青髪の男。
「ガ、ガリール様!!でも私カレー以外料理できないです!!」
「あぁあん!?そこを何とかすんのもお前の役目だろうが。俺とニル姐(ニルねえ)はお前らと違って食わねえと死ぬんだぞ!マジで死活問題なんだよ!!」
「で、でも私一生懸命作ったです!!」
「うっ……。で、でもなぁ。ってうん?」
そんなミアの純粋な瞳に、ガリールと呼ばれた男は一歩後ずさる。
そしてようやくミアの隣にいるウルの姿に気付いた。
二人の目が合う。
「あっ、どうも……」
ウルは反射的に小さく頭を下げた。
「ああん?お前調子のってるとぶっ殺すぞ」
一方ガリールはイラついてる様子で、ウルを睨み付けた。
この時ウルはこう思ったと言う。
――ああ、この人めっちゃガラわりぃー、と。
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