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「でもまあ、そこそこ楽しめたかな」 平八郎はひとり呟くと、画面内のラスボスに話し掛けるべく、コントローラーのAボタンを押した。  ぐらり――  一瞬視界が歪んだような気がした。 平八郎は疲労からくる目の疲れだと思ったが、あと少しでゲームクリアなので再開しようとした。 しかし画面内のラスボスは消えていなくなっていた。 「あれ?」  そのとき、急に背後から見知らぬ男性の声が降り注いできた。 「もしもし、ワシはこっちですよ?」  平八郎が驚いて振り向くと、そこにはゲーム内の魔王……のポーズをアスキーアート化した柄のTシャツを着た青年が立っていた。 「いや、誰だよお前」 「吾が輩はボスである」  カーテンの隙間から朝日が射し込み、小鳥のさえずりが聞こえた。
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