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しかしこの妙な戦いに終止符を打ったのは、このふたりの内のどちらでもなかった。
「平八さん、朝から何を騒いどーとよ……」
妻、円香だ。
現実に引き戻され、時計を見ると時刻は既に7時を回っていた。
「っく、しまった!!」
そして顔を正面に戻すと例の魔王がいない。
「あいつは!?」
気が付くとソーマは閉まりかけた玄関のドアの向こうに移動していた。
「こらぁ、待たんかい!!」
慌てて追い掛けたペッパーズがドアを押し開けると、そこは雪国だった。
ソーマの姿は見えない。
そう、今は1月。だがソーマの装備は大王Tシャツとジーンズのみ。
靴はさり気なくペッパーズのものを盗んで穿いていっていた。
「逃げられたか……」
ペッパーズが諦めてドアを閉めて部屋に戻ったとき、何か黒い物が視界に入った。
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