岡田以蔵

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「凛っ!!凛はどこだ!?」 土方さんは凛を呼ぶが凛は返事をする気配もない。というか… 「土方さんあんまり大声出さないでよ。凛が起きちゃうでしょ?」 凛は今僕の隣で寝ている。 2人で縁側に座って話していたら天気が良かったせいか、凛は寝てしまった。 「本当に寝るか食うかのどっちかだな、こいつは…」 はぁ…と土方さんはため息をついて凛を起こそうとした。 「起こしちゃかわいそうだよ。というか…なんで凛を探してるんですか?」 「昨晩、奉行所の役人が何者かに殺された。」 「役人が?」 「ああ。遺体の上には“天誅”と書かれた紙が置いてあった」 「攘夷浪士の仕業じゃないですか!それで凛に様子を見てこいって言いに来たんですか?」 「そうだ。女の方が偵察しやすいと思ったからだ。」 「じゃあ僕も行く」 「話聞いてたか?お前は男だぞ?」 「凛を1人で行かせるわけにはいかないんで」 はぁ~…とさっきよりも豪快なため息をもらし土方さんは僕に言った。 「わかったわかった、お前も行けもし何かわかっても深入りするなよ。それに、俺たちはまだなんの役職も存在すら知られていないただの浪士だ。会津公に迷惑になることはするなよ」 「はぁい」 と軽めの返事をし目線を土方さんから凛に代えた。 後ろでチッという土方さんの舌打ちが聞こえたが、ここはあえて気づかないフリをする。 「今日中に行けよ」 「はいはい。わかってるって」 「“はい”は一回。それにいい加減お前は俺に対して敬語を使えっ!!」 あっ。鬼が怒った。 「え~?使ってますよ?」 「たまに敬語が外れてんだよ」 またチッと舌打ちをしてまだ消えていない鬼の角を生やしながら土方さんは歩いて行った。 「…確かに年上だけど…敬語とか余所余所しい気がして試衛館の人達にはあんまり使いたくないんだけどなぁ~…」 ボソッと言った。 基本的、僕は敬語で喋ってるが…これにはちょっとしたワケがある。 でも、本音を言うと、試衛館の人達には敬語を使いたくはない。ま、年上の人に敬語で喋るのが癖付いてるせいもあってなかなか直らないけど… 別に土方さん本人に言っても良かったのだが、また舌打ちをされそうなので言わなかった。 「土方さんは堅いなぁ…」 凛はまだ気持ちよさそうに寝ている。 もう少し寝かせてあげるか…
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