岡田以蔵

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「凛はここで待ってて。僕がみてくる」 私が声をかける間もなく総司は走っていった。 …ここで待つの?1人で? ここは昼間でも薄暗くて茂みの中だからもちろん人なんて来ない。 「……私待つなんて言ってないし…ついて行っても大丈夫だよね」 私は総司が走っていった方に歩いていった。 確か…こっちの方から悲鳴が聞こえたよね…? すると総司らしき髪型の人物が見えた。 あいつ背が高いから目立つなぁ……!? のんきにそんな事を思っていたら総司は男と剣を交えているし、総司の背後から斬りかかろうとしている別の男が見えた。 総司っ…!! 私は走りながら護身用の小刀を抜き、総司をかばった。 「凛っ…!!」 「総司怪我は?」 「無いよ。それよりなんでついて来たんだ!!」 総司に怒鳴られ、少しカッとなった。 「馬鹿総司っ!!私がついて来なきゃ死んでたでしょっ!!それに私、待ってるなんて一言も言ってないし」 ふんっと私は顔を総司から敵の男に向け、小刀を握りなおし、疾って男に向かった。 「こいつは私が相手をするから!!総司はそっちに集中しなさいっ」 私は総司に向かって叫んだ。 私が相手をしている男は刀の振り方など身のこなしからしてたいして強くない。 問題は総司が相手をしている男だ。 隙のない構え、只ならぬ威圧感。この事から相当な使い手だとうかがえる。 総司…大丈夫かな…? 「よそ見なんかして…ずいぶん余裕じゃねぇか」 男は私に対して怒りを感じているらしい。それもそうだ。私はこの男そっちのけで総司の心配をしていたのだから。
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