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「馬っ鹿野郎っっっっ!!!!!」
おそらく土方さんのこの声は近所中に響き渡っただろう。
「土方くんっそんなに怒らなくても…」
山南さんが土方さんをなだめようとしたが、激怒した土方さんには通用しなかった。
山南敬助。平助と同じ流派で北辰一刀流。
頭が良くて、性格は落ち着いていて、とても頼りになる。
「そうだよ。土方さん。あんまり怒ると血管切れるよ」
僕はケラケラと土方さんをからかう。
「うるせぇっ!!だいたい凛っ!!お前はなんで脚を斬ったやつを捕虜として連れてこなかったんだっ!!」
凛に向かって土方さんはブチキレた。
「…ごめんなさい…」
え…?
凛のこの一言で土方さんの血の気が一気に引いた。
「凛、どうかしたの?」
僕は隣に座っている凛の顔をのぞき込んだ。
「…話はしたし…後は総司に聞いてよ」
そう言うと凛は部屋から出て行った。
「…あ~あ~…土方さんが凛を責めるから」
後ろで話を聞いていた平助が白い目で土方さんを見る。
「そうだぞトシ。少し大人気なかったぞ」
近藤さんは腕組みをしてうんうんと頷く。
「こっ…近藤さんまでっ…」
土方さんはみんなからの白い目をうけて冷や汗をかいている。
「凛の所に行ってきます。なにかあれば後で聞くんでその時は呼んでください」
僕は凛の後を追うために部屋を出た。
「俺も行くっ…」
「お前はここにいろ」
一緒に行こうとした平助を永倉さんが止めた。
「え~!?なんでだよぉ!!」
平助の声が廊下にいた僕にも聞こえた。
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