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「…悪いことしてる訳じゃあないのに……なんか変な罪悪感があるんですけど…」
私は山南さんの後ろについて歩いている。
「ははは、仕方ないさ。許可も得ずに勝手に警護しているんだから」
歩いていると言っても……草むらの中である。
「…あ!会津侯の御一行じゃない!?」
近藤さんの横を歩いていた平助が指を指した。
一斉に、その場所をみると、会津侯が乗っているであろう籠と数十名の付き人の姿があった。
「今の所、何ともねぇみてぇだな」
永倉さんが安堵したように息を吐いた。
「何かあった後じゃ遅いですけどね」
総司がニヤリと口角をあげ、言った。
「総司…その黒い笑み、やめろ」
永倉さんが軽く冷や汗をかきながら言った。
総司は戦いたくてうずうずしている時や、強い人物を見つけた時なんかは今のように口角をあげて笑う。
周りからは黒総司などと呼ばれている。
確かに腹黒そうな笑みなのだが…
あれ?
実際、腹黒いような…
「ま、最近暴れてなかったしな。総司も久々に大暴れできて嬉しいんだろ?」
左之さんも、うきうきしているらしく、槍をくるくると回したり、鼻歌を歌ったりしている。
「左之助。遊びに行くんじゃあないんだよ?」
浮かれている左之さんを優しくなだめる源さん。
源さんは落ち着いているなぁ…
近藤さんも土方さんも山南さんもいつもと変わらない様子だし…
やっぱりすごいな…
私も…覚悟を決めなきゃ……
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