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「ふわぁ~…まだつかないのか?」
会津藩、藩主、松平容保(まつだいらかたもり)は籠の隣で歩いていた幕府の役人に話しかけた。
「先程も申されたばかりですぞ?もう少しの辛抱です」
「もう少し、もう少しと何度聞いた事か!…よし…籠から降ろせ。私も歩く」
「なっ…!何を申されますか!?」
松平侯を説得しようとしたが、役人の言葉よりも早く、松平侯は籠から降りようとした。
「なりませぬ!!殿!!」
周りにいた役人達も松平侯を止めに入った。
すると、一行の列が乱れてしまった。
「……今だ。行けっ…!」
ガサッ…
「……ん?」
「どうした?」
1人の役人が微かな物音に気づいた。
「いや……何か物音が……ギャアアアア!!!」
「白石っ!!」
背中から血を噴射しながら倒れていく同胞の後ろにはニヤリと笑みを浮かべた1人の男がいた。
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