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「ほぅ…なかなかの剣豪揃い……よし。この場はそなた達に任せる」
会津侯は次々に浪士達を倒していく試衛館メンバーを見て言った。
「ありがとうございますっ…!!」
すると、会津侯の目はある一点で止まった。
「ん?…あの者は…女子ではないか?それにまだ子供…」
「あの者は不知火凛。歳は我等の中では一番幼いですが、ああ見えて18です」
「18!?…13、14の幼子に見えた…」
会津侯だけでなく、周りにいた役人達まで驚いていた。
…凛が聞いたら怒るでしょうね…
山南は心の中で苦笑したのであった。
「剣の腕はどうなのだ?」
会津侯は唯一の女子の凛に興味が湧いたらしく、山南に訪ねた。
「剣の腕は我等の中でも一を争います」
「ほぅ…あの幼子のような女子がなぁ…」
感心したように凛の方を見つめる。
一行の注目の的となっている凛はというと、他のメンバーよりも多い人数に囲まれて、逃げ場がない状態だった。
…7人か…
ちょろいな
浪士達の中心にいたはずの凛は消えた。
「!!?消えた…!?」
会津侯や役人、凛を囲んでいた浪士までもが動揺した。
「いえ…消えはおりませぬ」
凛の様子を見ていた中で、山南だけは落ち着いた様子だった。
そう。消えたのではなく、凛の動きが疾(はや)過ぎて、誰も目で追うことができないのである。
ただ、山南含め、この場にいる試衛館メンバーは凛の姿を捕らえられる……見物している時は。
実際、試合をすると見えない時の方が多い。
ただ1人…総司を除いて…彼は凛のスピードを完全に捕らえる事が出来る。
なので、凛と総司が試合をすると決着がつかなかったり、決着がついてもかなり長い時間が経過している。
「はぁっっ…!!」
凛の声がしたと思うと、浪士の2人がドサッと地面に倒れる。
「そこかぁっ!!」
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