2人が本棚に入れています
本棚に追加
「雛、まだ残ってたのか?」
見つめていた教室のドアから、別の誰かが入ってきた。
「…山崎くん」
山崎悠太。私の恩人。
暗闇の中でうずくまっていた私に手を差しのべてくれて、幸せな生活をくれた人。
感謝してもしきれない人。
「部活は、いいの…?」
確かサッカー部に所属していて、1年生なのに既にレギュラー入りしているくらい上手いらしい。
春香ちゃんがそう言ってた気がする。
「今日は休みなんだ。それより、結構クラスに慣れてきたみてぇだな!」
そう言って私の髪をぐしゃぐしゃっと撫でる。
「う、うん。山崎くんのお陰だよ。私、今すごく楽しいよ!だって…」
あの日以来、人が怖くなって中学3年間で人と話した記憶がない。
そんな私が今こうして普通に話しているなんて。
幸せすぎて涙が出てきた。
「おいおい、泣くなよ(汗)」
最初のコメントを投稿しよう!