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海兎「……泣くな」
灰「え…?」
海兎が親指で涙を拭ってくれた
なんで優しくしてくれるんだろ?
海兎「俺は…」
海兎が虚ろな目で話し出す
海兎「お前達と別居してから、本当は寂しかった
だから、光坩と出会って一緒に暮らせて嬉しかった。光坩は新しい家族だったんだ」
寂しかった…
海兎も、寂しかったんだ
海兎「けどいつからかもっと独占したくなってた。狂うほど、光坩を愛してしまった」
月明かりを見つめる海兎が、僕と重なった気がした
海兎「こんなに愛してるのに、想いが伝わらないのは辛い…
だから、お前が今どれくらい辛いのか分かるよ」
僕達は似てるんだ
今の僕の気持ちと海兎の気持ちは同じ
海兎も僕と自分が重なって見えたんだね
ってことは、海兎は少なからず僕の事を見てくれてるってこと
無関心な訳じゃ、ないんだ
海兎「けど…やっぱりまだ光坩が好き。それでも、お前は良いのか?」
灰「…っうん!いつか愛してくれればそれでっ」
海兎が僕を見てくれる
それだけで僕は救われるから
海兎「ありがと…灰利」
っ!
これから少しずつ進んでいければ、僕はそれで構わない
僕達はただ黙って、綺麗な景色を眺めていた
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