27人が本棚に入れています
本棚に追加
リィィィ……リィィィ……
人で溢れた夜の繁華街。その裏道から、微かに人の声が聞こえる。
そこにいたのは、金髪の男と鼻にピアスを付けた男の二人と、髪の長い女性だった。男は二人共、ニヤニヤと己の欲望を丸出しにした表情をしている。女性はとても怯えている様子だ。
女性の周りにはビルが立っており、後ろには高い金網が張ってある。左右にわき道すらもない、完全な行き止まりだ。引き返そうにも男達がいるので、どう足掻いても逃げられそうにない。
「ネェちゃんよ、もう観念しちゃいなよぉ。イヒヒッ」
金髪の男が下品な笑い声と共に言った。残った鼻ピアスの男がゆっくりと女性に近づく。
「いや……やめて……」
「こんな人のいない裏道じゃあ助けなんかこねぇぜ。さ、俺たちと楽しいことしようぜぇ?」
鼻ピアスの男がゆっくりと女性に向かって手を伸ばす。
同時に、どこかから微かに鈴の鳴るような音が聴こえて来た。鈴の音は断続して鳴っているのではなく、所々途切れて鳴っている。とても小さい音なので、男達は気づいていないようだ。
男の手がどんどん近づいて行く、それに比例するかのように鈴の音も大きくなる。
最初のコメントを投稿しよう!