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(どうして俺は他人と違うんだろうか・・・?)
雨竜は先ほど女性が話しかけてきた場所を後にしてから、そのことをずっと考えていた。
感性というのか、どうにも他人が凄いといっていることに賛同できなく、逆に、他人が大したことの無いといっているものに感動する。
天邪鬼なのだろうか?
他人と一緒に何かを楽しむのが嫌いなのだろうか?
そんなことも考えたが、直ぐに違うと思い直す。
(昔、俺と同じ考え方の奴がいたな・・・)
雨竜がまだ9歳の頃、親の転勤だかで遠くに引っ越してしまった友達がいた。
その友達は男で、彼は雨竜が感じることに素直に賛同してくれる唯一の人物だった。
(そういえば・・・。昔から俺は他人とは違ったな)
その友達の事を思い出すたびに、何故か自分が他人と違うことが強く思い出されることに、雨竜はげんなりした。
「はぁ・・・・。誰か、俺を理解してくれる人はいるんだろうか?」
ため息と共に口から出た言葉は、明らかに他人との関わりが少ないことを現している。
その証拠に、その言葉が聞こえた通行人からは哀れみの視線が向けられていた。
「ん・・・、ここは、どこだろうか」
肩からずり落ちてきた、竹刀袋の持ち紐をかけ直したところで、雨竜は今いる場所が自分の知らないところだと気づく。
いろんなことを考えながら歩いてきた。
途中から行き交う人々すら目に入らなくなっていたことに、今更ながら気が付く。
「あー、こんなんだから・・・か」
雨竜は思わずため息をこぼした。
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