第一章“己の力” エピソード1“出会い”

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 “迷わせの森”  正式名称はあったが、今では通り名のほうが有名となり、それを覚えているものは居ないという。  幾度と無く、この森に入った旅人が姿を消すことからその名がつけられた。    曰く、強力な魔物がすんでいる  曰く、何者かに捕まり奴隷として売られているのでは?  曰く、森の民であるエルフがなんらかの力を出している  そんな噂が実しやかに語られているが、どれも正解を示してはいない。  実は、この森自体が意思を持ち、気に入った旅人を自分の中(つまり森の中)へ閉じ込めてしまうのだ。  ただ、この森が好む人物に該当するものは少ない。  暗く憂鬱な気持ちを抱えているもの、それがこの森が好みの旅人である。  一人のエルフがそのことを見つけてからというもの、こ森での失踪者は居なくなった。  長い間、一人も、失踪者が居ない。  この森は、一人の旅人を閉じ込めるたびに力を使っていた。    それが長い間使われず、ずっと溜まり続けていたとしたら?  世界を超えるほどのエネルギーが溜まっていた事に、誰も気が付かないまま、異世界より最初の被害者が現われたのだった。
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