始まりの章 プロローグ その1

7/8
前へ
/15ページ
次へ
 再び戻って、ここは迷わせの森である。  エリシアは自分が消滅させた村の跡地で眠るのも木がひけたので、再び森の中に戻ってそこで夜を過ごすことにしたのである。    「あーもうっ!村は無くなってるわ、死人どもに襲われるわ、あげく村一つ消しちゃうなんて・・・・最悪じゃない」  今、彼女の機嫌は本当に最悪である。  むやみやたらと近づくと、一瞬の内に細切れになるだろう。  物理的に。  「やめやめっ、もう寝よう!」  森とは仲がよいエルフは、そのテリトリーの中ならば自分に害のある生き物が近づくと直ぐに察知できる。  なので本当は地面で寝ても問題は無いのだが、彼女のポリシーというのか、地べたで寝るのはぜったに嫌なのである。  よって、エリシアは野宿の際には木の上で寝る。  其処が平野ならば寝ずに歩き続けるし、町の中だったら勿論宿屋のベッドで寝る。  今回は森の中、それもそこそこ危険度の高い森である。  エリシアは用心に用心を重ねることにした。  「結界魔法、発動・・・」  手ごろな大きさの木を見つけたのか、エリシアは既に一本の枝の上で横になっていた。  そして欠伸をかましながらも、人間の中では高位に位置する“結界”の魔法を発動させた。  
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加