瘡蓋は剥がれて膿み始めた

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「焦るな。お前は十分、向き合ってる」 映っているのか。 お前の目の前に俺は居るのに、分からないんだ。 お前の目がいつからか、俺を見ている気がしないんだ。 「っ、兄さん…」 音がしそうなほどの力で、腕の中に閉じ込める、のに。 抱きしめる細い身体は、どうしても冷たいままで。 明伎を救えない自分を、思い知る。
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