今日の向こうが崩れる音を聞く
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兄さんのことが、と。 そう告げようとした先を、その瞬間飲み込んだ。 まるで遮るように、鞄の中の携帯が着信音を発する。 規則的なその音が淡々と繰り返し私を促し、数回のコールでは途切れはしない。 「取らないの?」 鞄に手を伸ばさない私を、怪訝そうに見て裕司郎が問う。 固まった表情に慌てて笑顔を貼り付け、そうだねと返しつつ鈍い動作で鞄に手をかけた。
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