暗闇の引力で光の外へ

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すらりと伸びる長い足が深紅のヒールでアスファルトに弾み、迷うことなく自宅の方向を辿っていく。 私はのどに力を込めてどうにか空気を声に変えた。 「…家に行くの?」 「私の家よ、おかしなことじゃないでしょう」 甘い蜜にくるまった言葉づかいの奥で、息を潜ませている全く裏腹の感情が見え隠れする。
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