暗闇の引力で光の外へ

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「…いいわねお前は。その若い身体、産んであげたのは私よ」 母の言葉に不穏な空気が滲んでいた。 門の前に佇む横顔の、目だけがぎょろりとこちらを向いて。 「――その身体は、私のなの」 ゆるり、今度は身体ごと私を振り向いた母は。 「返しなさい…」 「…母さん…?」 その目を見た瞬間、これまで感じてきたどの恐怖も超えて、背筋が凍るほどの戦慄に震え上がる。
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