暗闇の引力で光の外へ

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「―――明伎ッ!!」 突然母の手がびくりと反応して、次の間には私から退く。 誰の声か気付くより先に、頭が真っ白になった。 私の名を呼んだその声に、全身の時間が針の回転を止めた。 「ああ、連…!」 声の方を振り向いた母はその瞬間、まるで閉じ込められていた暗い部屋にたった一筋の光を見出したかのように。 涙を流すまま私から離れて駆けて行く。
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