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「母さん、俺は行かない」
母の表情が音を立てて凍りつき、兄さんを振り返る。
肩にすがっていた母の華奢な手を静かにほどきながら、兄さんが強い口調で言った。
「明伎の意思関係なく、俺がそうしたいからここに居る」
「連…!」
母が悲壮に顔をゆがめ、激情が涙に代わってわき上がる。
「いやよ…っあなたまで私を捨てるの連…っ」
「……?」
母さんの言動に、兄さんが不可解げに二の句をためらう。
母の悲痛な声に、私はハッと息を呑んだ。
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