最良の答えは足元にあった

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兄さんだけでなく裕司郎も、愕然と見開いた目で私を見る。 「明…伎…!?」 夜のような、兄さんの漆黒の瞳。 〝本気で言っているのか〟と、問い詰めるような。 (兄さん…) 兄さん。いやだ、こんなこと言いたくない。 胸が抉れる。兄さんの姿が滲んで揺らぐ。溢れそうになる。 この口で、上手に心と正反対を言うために、せめて胸のなかでは泣いて兄さんを呼んだ。何度も呼んだ。
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