最良の答えは足元にあった

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心配げに視線を向ける裕司郎の腕からそっと抜け出して、真っ直ぐ兄さんに向き直る。 (兄さん――) 私のことを強いと、兄さんは言ってくれた。 今も、兄さんの瞳に私の姿が、そう映ってくれればいい。 「私は大丈夫。それより母さんを」 「明伎…!? 俺は…っ」 「お願い兄さん」 兄さんはそれでも何かを言いかけて、けれど言うべき言葉を見失ったかのように、動揺に開かれた瞳だけを私に向ける。
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