産声をあげたのは命じゃない
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(兄さんーーー) 兄さん。 もう、兄さんを理由にして生きるには、限界が来ているのかもしれない。 兄さんを想うのなら、父と母に愛されている兄さんを、本来の幸せのなかへと見送るべきなのだ。 『必ず、返してもらうわ』 無言を貫く私が気に障ったのかどうでもよかったのか。 やがて耳元で回線が断たれる音を聞いた。 …雨の日に母が電話を寄越すようになったのは、それからだ。
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