手を放した。自由になってと。

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「結局、みんな巻きこんじゃって…ごめん」 「そんなふうに思ってない。気ぃ遣うクセ、治せって言ったろ」 「…それ、兄さんにも言われた」 「え?」 「そんなふうに思ってない、って」 「そうだな。男から言わせれば、何の迷惑もかけない女は可愛くないな」 「ふふ…そっか」 裕司郎の軽口に思わず笑いを引き出される。 (ありがとう) いつも救ってくれて。 「じゃあ、センセに話してくる。メシ出来るまで寝てろよな」 「うん」 立ち上がってもう一度私の頭をくしゃりと撫で、裕司郎は寝室を出て行った。
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