失ったあなたを夢に見る

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そのとき、ふいに柔らかな感触が私の額に触れた。 ふわり、と。 『ーーー明伎(アキ)』 ああこの手は。 優しくて懐かしいこの手は、 私がなくした大切なもの。 『明伎』 その声だけで、涙腺がジリッと焼きついて泣きたくなる。 やっぱりここは夢のなかだ。 この手を私はもう、失ってしまっているから。
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