清算の雨に傘はいらない

4/14
前へ
/572ページ
次へ
笑みを見せる裕司郎に私はほっと息をついて安堵する素振りをしながら、ああやっぱり、と思う。 (話すつもりなんだね、兄さんに) 裕司郎は優しい。優しさでできた嘘なら、それが必要ならつく人だ。 必要だと思えば私が望まないことでもそれをする。母と私が再会したとき兄さんを連れて駆けつけたように。
/572ページ

最初のコメントを投稿しよう!

452人が本棚に入れています
本棚に追加